― 円覚寺・長谷寺・一条恵観山荘、色彩あふれる秋の散策 ―
11月、鎌倉の街が少しずつ秋色に染まり始める季節。
今年は気温の影響か、例年より色づきが控えめで、葉先が少し枯れ気味の様子も見られました。それでも、寺院や庭園に広がる自然はやはり鎌倉らしく、“色づきの個性” を感じる紅葉めぐりとなりました。
今回は、私が実際に巡った円覚寺 、 長谷寺、 一条恵観山荘の写真とともに、その日のリアルな鎌倉の秋をお届けします。
1. 円覚寺 ― 「今年らしい」控えめな紅葉と、光に透ける優しい色





北鎌倉駅すぐの円覚寺では、紅葉はすでに色づいていましたが、写真のように 葉先が少し乾燥してチリチリしている木もちらほら。しかし、これはこれで“晩秋らしい質感”。
陽に透ける橙や赤は柔らかく、控えめな色でも絵になるのが円覚寺のすごいところ。
✔ 枯れかけの葉と光のコントラスト
✔ 緑・黄・橙が混ざるグラデーション
全体がピークの真っ赤ではないぶん、色の変化がより細かく、近づいて見るととても美しい表情でした。
2. 長谷寺





長谷寺は谷地形のおかげで日当たりが場所ごとに違い、「よく色づいている場所」と「やや枯れ気味の場所」がはっきり分かれていました。
✔ 青空の下、光が当たると鮮やかに
✔ 日陰では少し乾き気味の葉が控えめに色づく
✔ すすき越しに見る境内の景色が秋らしい
特に写真にある赤のボリュームが多いもみじは、光の方向によって印象が大きく変わり、“今年ならではの味わい深い紅葉” が撮れました。
完璧な色づきでなくても、紅葉の個性が写真にしっかり残る場所が長谷寺の魅力だと感じました。
3. 一条恵観山荘 ― 穏やかな庭で楽しむ静寂の秋





一条恵観山荘では、黄色のもみじが特に印象的でした。
こちらも全体的に色づきはやや控えめ。ただ、庭の緑がしっかり残っているため、
✔ 黄葉とのコントラストが優しい
✔ 静かな庭でゆっくり色を楽しめる
✔ 赤い和傘や苔の緑がアクセントになる
紅葉そのものより、庭の雰囲気・空気のやわらかさのほうが印象的なスポットです。また、水鉢に浮かべられたバラの写真のように、紅葉以外にも「秋らしい被写体」が多く、散策が楽しくなります。
11月の鎌倉を歩いて感じたこと
11月の鎌倉は、今年は全体的に紅葉の色づきがやや控えめで、木によっては葉先が少し枯れ気味でした。それでも、円覚寺や長谷寺、一条恵観山荘のような寺院や庭園の景色と組み合わさると、不思議と物足りなさは感じません。境内に差し込む光に透けて、赤や橙、黄色の葉がふわっと浮かび上がり、条件が合う瞬間には「今年の紅葉も悪くないな」と思わせてくれる美しさがあります。
鎌倉の紅葉は場所や木ごとの個体差が大きく、鮮やかに残っている枝もあれば、渋い色合いに落ち着いた葉もあり、その違いを探しながら歩くのも楽しいポイントです。完璧に色づいた一枚の風景を狙うより、「この木は今が一番きれいだな」と感じた瞬間を切り取る楽しみがあると言えるかもしれません。
華やかな当たり年とはまた違う、静かで味わい深い秋の鎌倉を、ゆっくり歩きながら楽しみたい人には、円覚寺・長谷寺・一条恵観山荘の三カ所を巡る今回のコースはとてもおすすめです。
今回の写真はまだ一眼レフを買ったばかりで撮影したものですが、鎌倉の紅葉は“撮影技術以上の美しさ”で応えてくれると改めて感じました。
